2020年06月05日
令和 2年 5月 現在、農林水産省では豚熱やアフリカ豚熱の感染拡大を防止するために、「飼養衛生管理基準」を改正しようとしています。その改正案のなかに「大臣指定地域においては、放牧場、パドック等における舎外飼養を中止すること」という記載があります。これは伝染病が広がって大臣指定地域に指定された地域では放牧を中止するという意味です。
この「放牧中止」の規定は豚、牛、水牛、鹿、めん羊、ヤギなど主要な家畜の大半を含んでいることから、 日本の畜産業に甚大な影響が出ることが懸念されます。そこで、当学会では、研究者組織の立場から、「放牧中止」に関して専門家の意見を聴取し、検討することとしました。
その結果、以下に述べるとおり、多くの疑間が寄せられました。ひとたび感染が広がれば多大な被害が発生する家畜伝染病の恐ろしさを十分考慮したとしても、「放牧中止」措置にはその必要性、相当性、放牧生産者の権利への配慮などについて、検討すべき課題がいくつも含まれていることが明 らかになりました。
そこで、当学会は、農林水産省に対し、意見の趣旨記載の事項を要望するため、本意見書提出に至った次第です。